
顎の骨に埋め入れた人工歯根(インプラント体)に基づき、高い安定性を持つインプラント。
高い安定性を持つインプラントですが、インプラントは一度入れてしまえばハイ、おしまいの治療法ではありません。
インプラントの寿命を延ばし、お口の健康を維持するには、インプラント治療後に以下の2つのケアを継続することが重要です。
[インプラント治療後に重要な2つのケア]
-
患者さんがご自身で行う、毎日の歯みがき+歯間清掃(セルフケア)
-
歯科医院で受ける、インプラント&口腔内の定期メンテナンス(プロケア)
上記2つのケアのうち、今回は、「歯科医院で受ける、インプラント&口腔内の定期メンテナンス」の内容をご紹介します。
目次
■歯科医院で受ける、インプラント&口腔内の定期メンテナンスの内容
一般的に、歯科医院では以下のような内容で、インプラント&口腔内の定期メンテナンスを行います。
1.インプラントの状態をチェック
歯科医師がインプラントの状態をチェックします。
インプラントパーツ(アバットメント)、上部構造(人工歯)に変形・劣化などの不具合が見られる場合は、状態に応じて、修理・交換を行うことがあります。
{インプラント体の変形・破損・脱落への対処について}
アバットメント、上部構造と異なり、顎の骨に埋め入れた人工歯根であるインプラント体の変形・破損は重度のトラブルに分類されます。
変形・破損のほか、特に注意が必要とされる危険な状態は、インプラント体の脱落です。
-
インプラント体が脱落寸前でグラグラしている
-
インプラント体が抜け落ちる(脱落)
上記のような場合、インプラント周囲炎(歯周病)が進行し、歯ぐき、顎の骨などの周辺組織が深刻なダメージを受けている可能性があります。
インプラント体が脱落寸前、または、インプラント体が抜け落ちてしまった場合は、インプラント体を撤去します。
インプラント体を撤去した後は、口腔内の状態に応じ、歯周外科治療を始めとする歯科治療行うことで、歯周組織の状態改善にアプローチします。
なお、インプラント周囲炎が中度~重度に進行し、インプラント体が脱落した場合は、インプラントを入れ直す(インプラントの再手術)ことが困難な場合も。
インプラントを入れ直すことが困難な場合は、患者さんのご同意を得た上で、ブリッジや入れ歯による補綴治療を検討することがあります。
2.口腔内の状態をチェック
インプラントの状態チェックに加え、歯・歯周組織の状態など、定期メンテナンスでは歯科医師が患者さんの口腔内の状態もチェックします。
チェックの際、むし歯・歯周病などのお口の病気や異常が見つかった場合は、患者さんのご同意を得た上で、状態に応じて処置・治療を進めていきます。
3.インプラント・歯のクリーニング
インプラント・口腔内の状態チェックの後は、歯科衛生士がインプラント・歯のクリーニングを行います。
定期的な状態チェックに加え、歯科医院で行うインプラント・歯のクリーニングはとても重要です。
歯科医院では、歯科衛生士が専用の器具・機械を用い、インプラント・歯についた歯垢・食べかす・歯石などの汚れを取り除いていきます。
ご自身で行う毎日の歯みがき+歯間清掃と併せて、歯科医院で定期的にインプラント・歯のクリーニングを受けることで、むし歯・歯周病(インプラント周囲炎を含む)の進行を抑えやすくなります。
◎定期メンテナンスの頻度は?
患者さんや口腔内の状態などによりメンテナンスの頻度が異なりますが、一般的に、インプラント治療後は3~6ヵ月に1回のペースで定期的にメンテナンスを受けることが推奨されます。
なお、上記は一般的な頻度です。ご高齢のかた、障害をお持ちのかたなど、ご自身での腔内の清掃が難しいかたは1~3ヵ月に1回など、より短いペースで定期メンテナンスが必要になる場合があります。
【セルフケア&プロケアを継続し、インプラントの寿命を延ばしましょう】
インプラント治療後、特に注意が必要なのが「インプラント周囲炎(インプラント周りの歯周病)」です。
インプラント治療後にセルフケア&プロケアが不足してしまうと、インプラント周囲炎を発症しやすくなります。インプラント周囲炎が中度~重度に進行した場合、歯周組織がダメージを受け、インプラントがグラグラになる場合もあります。
インプラント治療後に注意したい「インプラント周囲炎」についてはこちら
—–
今回は、
-
インプラント周囲炎の進行を抑え、インプラントの寿命を延ばす
-
お口の健康を維持する
ために欠かせない歯科医院の定期メンテナンスについて、ご説明をさせていただきました。
インプラント治療後は毎日のセルフケアをしっかり行うと共に、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けましょう。
