インプラントの手術前・手術後にタバコはダメ? 電子タバコならOK? 喫煙によるインプラントへの悪影響とは|浜松市中央区の歯医者|浜松歯科

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インプラントの手術前・手術後にタバコはダメ? 電子タバコならOK? 喫煙によるインプラントへの悪影響とは


紙巻タバコ、電子タバコなど、タバコを吸う喫煙行為。


喫煙者のかたのインプラント治療は、「インプラントの手術前・手術後の禁煙」が重要になります。


今回は、「喫煙によるインプラントへの悪影響」のお話です。


■インプラントの手術前・手術後は禁煙しなきゃならないの?


◎インプラントの手術前・手術後に禁煙することをおすすめします

最初に、申し上げます。

喫煙者のかたは、インプラントの手術前・手術後に禁煙することをおすすめします。


禁煙をおすすめするのは、喫煙はインプラント治療にさまざまな悪影響を及ぼすおそれがあるためです。


{必要とされる禁煙期間について}


患者さんの喫煙状況や歯周組織の状態により、インプラント治療で必要とされる禁煙期間が異なる場合があります。


インプラントの手術前・手術後の禁煙期間について、詳しくは歯科医師までお尋ねください。


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次の項では、「喫煙によるインプラントへの悪影響」をご説明します。


■喫煙によるインプラントへの悪影響


◎非喫煙者のかたと比べて、喫煙者のかたはインプラント治療の失敗率が約2倍に

タバコを吸わない非喫煙者のかたと比べて、喫煙者のかたはインプラント治療の失敗率が約2倍だった、という調査結果が報告されています(※)。


(※)喫煙と口腔病変との関連に関する観察研究(2015)より


なぜ、喫煙者のかたのインプラント治療は失敗しやすくなるのでしょうか?


喫煙者のかたのインプラント治療が失敗しやすくなる理由は、以下のような「タバコに含まれる有害物質」が歯周組織に悪影響を及ぼすためです。


①ニコチンがインプラント体と顎の骨の結合をさまたげる

タバコに含まれるニコチンには、骨の代謝(骨を溶かす&骨を作る)をさまたげる作用があります。


顎の骨の代謝がさまたげられると、インプラント体と顎の骨がなかなか結合せず、インプラント治療が失敗しやすくなります。


②ニコチン・一酸化炭素がインプラント手術でできた創口の治癒を遅らせる

{ニコチンが血管を収縮=創口に十分に血液が行き届きにくくなる}


タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させる作用があります。


血管が収縮すると、栄養分を含む血液が身体の隅々まで行き届きにくくなってしまうのです(喫煙者のかたが手指の血行不良を起こしやすくなる理由)。


血液が行き届かなくなると、インプラント手術でできた創口の治癒が遅れやすいです。創口がなかなか治癒しない(創口が閉じない)場合、創口からの細菌感染のリスクが高まります。


{一酸化炭素が酸素の運搬を阻害=創口の治癒が遅れやすくなる}


血液中に含まれる酸素は、以下のような重要な役割を担っています。


[血液中の酸素がもたらす、創口の治癒のメカニズム]


  1. 酸素が創口周辺の細胞を増殖させ、新しい組織(新しい血管など)を作る

  2. 酸素によって作られた新しい血管が創口に血液(栄養分を含む血液)を送り、創口が治癒していく


創口を治癒するための重要な役割を担っている、酸素。


重要な酸素ですが、喫煙者のかたは、タバコに含まれる一酸化炭素の作用により、血液中の酸素の運搬が阻害されやすいです。


血液中の酸素の運搬が阻害されると、インプラント手術でできた創口の治癒が遅れやすくなります。


③ニコチンが「インプラント周囲炎」の発症リスクを高めてしまう

タバコに含まれるニコチンには、免疫力(細菌をやっつける免疫機能)を低下させる作用があります。


ニコチンによる免疫力の低下により、喫煙者のかたは、インプラント治療後、歯周病の一種である「インプラント周囲炎」を発症しやすい傾向が見られます。


インプラント周囲炎が中度~重度に進行した場合、歯ぐきが大きく下がったり、顎の骨が溶けてインプラントがグラグラになってしまうことも。


■ニコチン・一酸化炭素を含まない電子タバコならOK?


◎ニコチン・一酸化炭素を含む・含まないに関わらず、インプラントの手術前・手術後は電子タバコも控えるのが望ましいです

一般的な紙巻タバコのほか、近年は、ニコチン・一酸化炭素を含まない電子タバコも普及していますね。


ニコチン・一酸化炭素を含んでいない、という理由から、


「ニコチン・一酸化炭素を含んでいないのだから、インプラントの手術前・手術前は電子タバコなら吸ってもOK?」


と思われる喫煙者のかたもいらっしゃるかもしれません。


お気持ちはわかるのですが、ニコチン・一酸化炭素以外の、電子タバコに含まれる何らかの物質がインプラント治療に悪影響を及ぼす可能性も捨てきれません。


上記の理由により、ニコチン・一酸化炭素を含む・含まないに関わらず、インプラントの手術前・手術後は電子タバコも控えるのが望ましいです。


【インプラントの手術前・手術後は禁煙しましょう】


今回は、「喫煙によるインプラントへの悪影響」のお話をさせていただきました。


禁煙に関しては、インプラントの手術前・手術後などの“期間限定の禁煙”ではなく、できれば、継続的な禁煙が望ましいです。


継続的な禁煙が難しいかたは、インプラント治療を成功に導くために、インプラントの手術前・手術後だけでも禁煙しましょう。


インプラントの手術前・手術後の禁煙期間については、歯科医師までお尋ねください。それぞれの喫煙者のかたに応じて、必要とされる禁煙期間をお伝えします。


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